企業の分析・予測

2021年08月17日

脱・東京 企業移転

『ヤフーニュース オリジナル』で私が監修した記事が公開されました。ヤフーの編集者の方々の尽力によって、充実した内容となっております。

興味がございましたら、『脱・東京 企業移転』をご覧ください。
keizaiwoyomu at 11:42|この記事のURL

2019年11月06日

ユニコーン・バブルの終焉

ウーバーやリフトは低賃金労働者の犠牲の上に成り立っているにもかかわらず、昨年の段階では異常に高い評価額が付いていたので、ユニコーン・バブルが膨張している様子をひしひしと感じていました。

ウーバーやリフトのドライバーを本職にしている労働者は、その多くが貧しい生活を強いられています。ガソリン代を自己負担し、両社に2割程度の手数料を支払うと、ドライバーだけで生活できる人は実に少ないという実情があります。

それでも赤字を続けているウーバーやリフトに法外な評価額が付いていたのは、ウォール街の金融機関や世界の投資会社の先走った姿勢がユニコーン・バブルを助長したからです。

たとえば、ウーバーのIPOをめぐっては、ゴールドマンサックスが想定時価総額を最大1200億ドルと試算し、ウーバー側の期待通りの数字を提示していました。想定時価総額が高ければ高いほどIPOの手数料収入も増えるので、投資銀行の試算額はどうしても高めになる傾向があります。

そもそもESG投資の見地から判断すると、両社は投資対象とはなりえません。ウーバーやリフト最近の冴えなさは、過去のITバブル崩壊を想起させるIPOブームの危うさを投資家に知らしめたといえるのではないでしょうか。
keizaiwoyomu at 14:40|この記事のURL

2019年01月18日

日立が英原発を凍結

日立が英国での原発建設を凍結するのは、昨年の春頃からわかっていたことでした。中止の決断時期が早ければ早いほど傷口は小さくなるので、これで良かったのではないかと思っております。

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2018年11月26日

GAFAの利益率低下は避けられない

S&P500(NYダウと並ぶアメリカの代表的な株価指数)の2013年~2018年9月末までの上昇分のうち、実にその4割弱はアマゾン、アップル、アルファベット(グーグルの持ち株会社)、フェイスブック、マイクロソフト、ネットフリックスの6社がもたらしたものです。

リーマン・ショック以降、世界的に経済成長率の低下が指摘されているなかで、これら6社は新しいビジネスモデルを築いた成長株として、投資家の資金を過剰といわれるほどに集めることができたのです。

しかしながら2018年10月以降、これら6社の株価は総じて下落する基調を強めてきています。2018年7~9月期の決算は概ね好決算といえる内容であったものの、利益率が低下しているということが悪材料視されてしまっているためです。

この続きは、11月24日更新の『経済ニュースの正しい読み方』でどうぞ。

※連載記事のタイトルや小見出しは編集者の意向で行われるので、誇張気味になるケースがございます。その点はご了承ください。


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2018年11月05日

企業業績に減速感

本日の日経1面トップに「企業業績に減速感」という記事がありましたが、その流れは2019年にいっそう鮮明になってくるものと思われます。

2017年の日本の成長率が当初の予想から1.7%へと上振れしたのは、世界の好景気に押されて日本の輸出額が11.8%増えたなかでも、中国向け輸出が20.5%増と突出していて日本の成長率を引き上げていたからです。日本と同じように、アジアの国々の成長率も中国への輸出増加によって引き上げられていたのです。

当然のことながら、日本もその他のアジアの国々も、企業の収益向上が成長率に大きく貢献していたわけですが、中国の2018年下期の成長率が6.5%程度にまで減速する状況下では、アジア全体の企業収益に与える影響は決して小さくないといわざるをえないでしょう。

実際に、インドネシアの対中輸出は月を追うごとに悪化してきていますし、タイの対中輸出も自動車関連や電子部品関連が2017年の増加から2018年には減少に転じてきています。日本工作機械工業会によれば、9月の工作機械受注額(確報値)のなかで、中国向けの受注額は前年同月比で22.0%減の189億円となりました。7カ月連続で前年を下回っており、未だ底打ちの兆しは見えていないようです。

中国政府は金融緩和に大転換したうえに、減税やインフラ投資の増額によって景気の下支えを強化する姿勢を示していますが、中国企業による日本の工作機械の爆買いは鳴りを潜めてしまっています。多くの日本企業が中国からの受注がかなり失速しているといっています。

米中貿易戦争が一向に沈静化を見せない現状下では、製造業を中心に2018年度は増益幅が減少し、米国が貿易戦争の返り血を浴びる2019年度には、日本の企業業績の悪化が意識される展開が予想されています。


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2018年05月08日

無謀な買収

武田は収益構造の悪化から10年以内に経営危機に直面するだろうとみていたのですが、この無謀な買収によって5年以内に破たんする可能性が高まってきたように思われます。

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2016年08月22日

なぜ大手商社は資源価格の下落を予測できなかったのか

今のところ、世界経済は好況の部類に属しているといえますが、それでも経営に失敗している日本企業は数多くあります。その代表例としては、エネルギー資源価格の下落を予見できなかった日本の大手商社が挙げられます。

三菱商事、三井物産、住友商事、伊藤忠、丸紅の大手総合商社5社の2016年3月期の決算では、エネルギー資源価格の大幅な下落により減損損失が1兆2000億円にまで膨らみ、5社合計の黒字は1443億円(前期は1兆400億円の黒字)まで減少しています。三菱商事と三井物産は戦後初めての赤字に転落し、その他の3社も当初の計画に比べて黒字額は大幅に縮小することとなったのです。

日本の大手商社は、国際的な原油価格の高騰や中国の旺盛な資源需要が今後も続くだろうという安易な見通しのもと、エネルギー資源の開発に傾斜を強めていき、多額の投資を行ってきました。そのような強気な投資の背景には、「これからも新興国や途上国では人口が増加し、エネルギーや資源の需要は増え続ける」という国際機関(IMF、OECDなど)や民間シンクタンク(野村総研、大和総研など)の予測があったのは間違いないでしょう。

この続きは、8月22日更新の『中原圭介の未来予想図』でどうぞ。

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10月1日(土)に、日産証券で特別セミナーを行います。興味がございましたらこちらからどうぞ

※多忙につきまして、更新の頻度が落ちております。ご理解いただければ幸いです。


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2016年08月01日

なぜ日本企業は投資の失敗を繰り返してしまうのか

なぜ日本の企業経営者やビジネスリーダーたちは、国内外での設備投資や海外企業のM&A(合併・買収)などの投資行動が下手であるといえるのでしょうか。

それは、経済の大きな流れが読めないことから、タイミングの悪い投資による事業拡大を行ってしまい、不況と呼ばれる状況が訪れるたびに、巨額の損失を抱えてしまうというケースが後を絶たないからです。場合によっては、企業の存続までもが危うくなるケースも決して珍しくはないのです。

みなさんもご存知のとおり、世界経済はもちろん、各国の経済も好況と不況を繰り返しています。2016年現在の世界経済は米国の消費が底堅いこともあり、好況の部類に属しているといえます。

しかし、遅かれ早かれ、程度の差こそあれ、次の不況は必ずやって来ます。リーマン・ショック後の深刻な不況ではないにしても、世界経済は2020年までにある程度の不況に遭遇することになるでしょう。このままでは、不況という状況が訪れるたびに、多くの日本企業で再び何らかの損失が発生することが避けられないというわけです。

この続きは、7月31日更新の『中原圭介の未来予想図』でどうぞ。

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名古屋証券取引所でセミナーを行います。個人向けは個人向けは久しぶりになりますので、興味がございましたら、こちらからどうぞ。(お申込み締切日は8月8日・抽選あり)

※多忙につきまして、更新の頻度が落ちております。ご理解いただければ幸いです。



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2014年05月13日

サムスンの凋落が始まった

韓国経済の分析について、拙書では定期的に書いておりますが、このブログでは書いたことがないと思います。そこで、今後の韓国経済については『新興国経済総くずれ~日米は支えきれるか?』(2013年9月発売)の139~141ページをそのまま引用し、少し補足を加えさせていただきたいと思います。

(以下、『新興国経済総くずれ~日米は支えきれるか?』より引用)

話をサムスンに戻しますと、韓国ではGDP、輸出総額ともに2割超を占めるサムスンのみが潤う構造になっていることから、国内の中小メーカーがまったく育っていません。

サムスンは自国での雇用創出にあまり熱心ではないといわれています。海外株主の要請を受け、コスト削減を求めて海外へ生産拠点をシフトさせているのは、利潤の最大化を目指す企業としては当然の行動なのかもしれません。

しかし、そのような競争に勝つための行動が、自国からの雇用を奪い、ひいては自国の経済を弱体化させることになるのではないでしょうか。

私はトヨタの成功を見ていると、つくづくそう思うのです。

円安ウォン高が定着している現状で、サムスンの収益までもが悪化するようなことがあれば、韓国経済はかなり苦しい立場に陥ることになるでしょう。

それでは、サムスンはいつまで高収益を保ち続けていくことができるのでしょうか。

サムスンは主力商品の低価格競争から脱皮をはかるために、高価格・高性能の製品にシフトしている最中であります。しかしながら、ずばり結論を述べると、サムスンの天下はそうは長く続かないと考えています。サムスンの2013年4-6月期決算では、営業利益の約3分の2を稼ぎ出す携帯端末部門が前期比3.5%減と失速しているのはその予兆かもしれません。

歴史は繰り返すものです。

かつては、家電から半導体に至るまで、隆盛を誇っていたアメリカのメーカーの牙城を日本メーカーが次々と崩していきました。一部のアメリカ企業は業態を変化させ、あるいは製品の付加価値を高めることで生き残ってきました。

アメリカのメーカーを駆逐し市場を握った日本のメーカーでしたが、いまではすっかり、台頭してきたサムスンをはじめとする韓国勢の後塵を拝することになりました。

次はどうなるのかといえば、韓国のメーカーが新興の中国勢に取って代わられるのが自然な成り行きでしょう。中国には政変リスクがありますが、シャープやソニーもほんの数年でサムスンに液晶テレビのシェアを奪われたのですから、政変が起こる前にサムスンが中国のメーカーにシェアを奪われる可能性は十分にあるのです。

そうであれば、サムスンは生き残るために製品の付加価値をさらに高めて勝負するか、新たな機軸を打ち出すしかないわけです。だから、サムスンは高価格・高性能へとシフトする戦略を打ち出しているのですが、当分は揺るぎないと思われていたアップルが翳りを見せているように、デジタル家電や携帯端末の分野で付加価値を高めて勝ち続けるのは至難の業だと思います。

仮にサムスンが家電分野で技術革新を起こしたとしても、以前なら3年、いまならば1年で簡単に追いつかれてしまうので、汎用品化した製品で技術革新を進めても割に合いません。製品のライフサイクルはどんどん短くなっているので、サムスンは疲弊するだけでしょう。やはり汎用品の市場は順繰りに後から追い付いてくる新興国へと手渡していくのが自然な流れだと思います。

(引用終わり)

その後のサムスンの業績は、直近までで2四半期連続の減益となっております。ここから業績が一気に落ち込むことはないにしても、ならして見るとじりじりと右肩下がりの展開になるだろうと、私は見ております。そうなれば、韓国経済も徐々に厳しい状況に追い込まれていくでしょう。おそらく、この流れは止められません。

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