金融政策の分析・予測

2024年11月13日

国民の暮らしがこの10年あまりで非常に苦しくなったわけ ~ 残された「金融緩和の大きなツケ」  

日本の実質賃金は1998年以降、一貫して下落基調を辿ってきた。日銀の大規模緩和が始まった2013年以降は、その下落基調がいっそう強まった。

実際に、大規模緩和が始まる直前の2012年を起点として、その前後の11年間(2001~2012年と2012~2023年)の実質賃金の推移を比較すると、前者は6.4%下落したのに対して、後者は8.3%といっそう下落していたのだ。

詳しくは、11月14日更新の 『経済の視点から日本の将来を考える』 でどうぞ。
keizaiwoyomu at 14:43|この記事のURL

2023年02月12日

日銀の金融正常化、その厳しい道のりは始まったばかりだ

日銀の新しい総裁が誰になっても、異次元緩和の副作用があまりに蓄積しすぎたため、政策の修正に取り組む可能性が高いとみられています。その結果として、長いスパンでみれば、長期金利が上昇していくことも想定しておきたいところです。

詳しくは、2月12日更新の『経済ニュースの正しい読み方』でどうぞ。

※連載記事のタイトルや小見出しは編集者の意向で行われるので、誇張気味になるケースがございます。その点はご了承ください。
keizaiwoyomu at 17:56|この記事のURL

2023年01月30日

日銀の異次元緩和が大失敗だった理由を検証する ~現実から目をそらし続けた10年のツケは甚大だ

日銀の異次元緩和が始まってもうすぐ10年だ。大失敗だった理由を検証したうえで、現在の状況がいかに悪いかを説明したい。

詳しくは、1月30日更新の 『経済の視点から日本の将来を考える』 でどうぞ。
keizaiwoyomu at 11:40|この記事のURL

2022年12月28日

日銀の超金融緩和の後始末は、長く厳しい道のりが待っている

2022年12月20日、日銀がこれまで10年近く続けた大規模な金融緩和を修正するという一歩を踏み出しました。長期金利の変動許容幅を従来の0.25%から0.5%に拡大するというのです。これは、事実上の利上げ、ひいては、事実上の金融引き締めとなります。

詳しくは、12月26日更新の『経済ニュースの正しい読み方』でどうぞ。

※連載記事のタイトルや小見出しは編集者の意向で行われるので、誇張気味になるケースがございます。その点はご了承ください。
keizaiwoyomu at 12:50|この記事のURL

2022年10月20日

FRBのインフレ抑制は失敗する可能性が高い

FRBの過去15年にわたる過剰ともいえる金融緩和によって、世界が低金利を常態とした弱い経済に慣れ切ってしまった。今後のFRBの対応によっては、その副作用が想定外に大きくなるというリスクを意識したい。

詳しくは、10月20日更新の 『経済の視点から日本の将来を考える』 でどうぞ。
keizaiwoyomu at 07:27|この記事のURL

2020年05月28日

米国の新規感染者数のトレンド

新型コロナ以後の世界において、私がもっとも注視している数字は、米国の新規感染者数の推移です。

以下のグラフは、米国の新規感染者数の推移を1日単位で表したものですが、この他に5日移動平均や7日移動平均を用いたグラフと重ね合わせながら、経済や金融の先行きをみる参考指標として使っています。

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keizaiwoyomu at 14:38|この記事のURL

2019年10月23日

2万3000円が射程圏に

日経平均は2万3000円を射程圏に捉えてきています。NT倍率が27年ぶりの高水準に達しているので、個人の多くの体感温度は日経平均と乖離しているのではないかと推測しております。

弊社の経済展望レポートでは、今回の局面は強気型のETFを2万2500円を目途に売却し、2万3000円を超えてきたら弱気型のETFを買うことを勧めております。果たしてどうなることでしょうか。
keizaiwoyomu at 18:52|この記事のURL

2019年04月22日

銀行のモラル崩壊を招いた日銀の責任は大きい

日本が金融緩和をどこまで継続できるのかというと、どのように策を講じたとしても、あと5年単位で継続することは非常に難しいだろうと考えております。なぜならば、日銀の量的緩和やマイナス金利といった政策によって、銀行は利ザヤを稼ぐことができなくなり、収益が相当に落ち込んできているからです。

この続きは、4月22日更新の『中原圭介の未来予想図』でどうぞ。

※連載記事のタイトルや小見出しは編集者の意向で行われるので、誇張気味になるケースがございます。その点はご了承ください。

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2018年06月15日

日銀に打つ手なし

いよいよECBが2018年中に量的緩和を終了すると決定しました。次の世界的な景気後退期が来たときに、日銀だけが政策手段を失うことになり、想定されるオリンピック不況の深刻化が心配されるところです。

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keizaiwoyomu at 10:24|この記事のURL

2017年03月23日

やっぱりマイナス金利は「毒薬」だった

日銀によりマイナス金利が導入されて、1年余りが経ちました。昨年2月1日の記事『マイナス金利は「劇薬」というより「毒薬」だ』では、銀行の収益悪化を招くことをはじめ、数々の副作用が起こるという予測を述べたうえで、経済の本質や流れをまったく理解できていない愚策であるという見解を述べさせていただきました。

実はその過去記事を書いた直後に、テレビ朝日の朝の情報番組のディレクターから、マイナス金利の特集をするので基礎的な知識を教えてほしいという依頼を受けました。そこで私はマイナス金利の弊害について、初心者でも理解できるように論理的かつ丁寧に、2時間くらいかけて記事の内容をかみ砕いて説明させていただきました。

ところが驚いたことに、実際の番組ではリフレ派の大学教授が解説役をしていて、「マイナス金利は正しい政策です」「銀行の収益は逆に増えます」といった、まったく理解不能なことを主張していたのです。コメンテーターの二人から「そんなわけがない」と突っ込まれても、論理的な理由をまったく示さずに、「とにかく、そうなのです」と押し切っていたところに、リフレ派の学者に共通する合理的思考力の欠如を見せつけられた気がいたしました。

この続きは、3月23日更新の『中原圭介の未来予想図』でどうぞ。

※連載コラムのタイトルは編集者の意向で変わるケースがございます。ご了承ください。


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2016年09月21日

日銀の「総括検証」は何の意味も持たない

みなさんもご存じのとおり、今の日銀の金融政策は「デフレを脱却する」という目標を掲げて行われています。学問的にも遅れている経済学の世界では、「デフレ=不況」が未だに常識として捉えられているからです。

ところが私は、そもそも「デフレを脱却する必要はないし、インフレを目指す必要もない」と考えています。なぜなら、インフレであるかデフレであるかは、歴史的に見て経済の好不況とはまったく関係がないからです。私がそういった考え方をできるのは、大学生のときに経済学ではなく歴史学を学んできた結果だろうと思います。
 
世界経済の歴史を検証すると、デフレ期では好況になっていることのほうが圧倒的に多く、デフレと不況に関係性が認められないという事実が明らかになっています。恐慌論で有名なベン・バーナンキは、世界大恐慌の時期だけを研究して「デフレ=不況」と結論付けましたが、むしろ世界大恐慌の時期だけが例外であり、歴史的な見地から判断すると、稚拙な結論としか言わざるをえなかったのです。

なぜ偉大な経済学者たちは、歴史をありのままに俯瞰することができないのでしょうか。たとえば近年の事例では、2014~2015年にドイツを大幅に凌ぐ経済成長を達成した英国では、その当時はデフレの状態にあったのです。原油安により実質賃金が上昇し、消費が拡大していたというわけです。景気が良いとされるドイツにしても、スウェーデンやスイスにしても、低インフレが定着している国々です。

歴史的な検証については私だけでなく、・・・

この続きは、9月21日更新の『中原圭介の未来予想図』でどうぞ。


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2016年05月18日

日銀は日本人の価値観を理解していない

私はこれまで3年以上、黒田日銀の金融政策は間違いなく失敗するだろうと様々な媒体で申し上げてきました。その主な理由としては、以下の4点にまとめることができるでしょう。

①円安により企業収益が増えたとしても、実質賃金が下がるため国内の消費は増えない
②円安が進んだ割には、企業は輸出単価を引き下げないので、Jカーブ効果は期待できない
③中小企業の労働分配率はすでに高水準にあるので、トリクルダウンなどという現象は起きようがない
④世界経済は2005年~2007年当時と比べると、2013年の時点で欧州や新興国を中心に低迷している

そもそも「インフレ期待」の失敗の底流には、以上の理由は別にして、その理論そのものが日本人の価値観と相いれない特徴を持っているということがあります。その点については、『経済はこう動く〔2016年版〕』の204~205ページの文章を引用したうえで、補足を加えさせていただきたいと思います。

(以下、『経済はこう動く〔2016年版〕』より引用)

私から言わせれば、とりわけ日本人に「インフレ期待」を求めるのは、そもそも大きな間違いであると思われます。米欧社会の価値観では、「インフレになるのであれば、預金していると目減りしてしまう。だから株式を買おう。お金を使ってしまおう」という考え方が、100歩譲ったとして、21世紀型のインフレ経済でまったく成り立つ可能性がないとはいいません。

しかし、それはイソップ童話の「アリとキリギリス」でいうところの、キリギリス的な発想です。平均的な日本人の価値観では、決してそう考えることはありません。日本人は「インフレになるのであれば、今から節約して生活防衛を心掛けよう」と考えるからです。いわば、アリ型の国民なのです。「インフレ期待」どころか、「インフレ失望」が働きやすいお国柄なわけです。

今では、アベノミクスの実質的な失敗により、インフレ期待がまがい物だったことが一般の人々にも理解できるようになってきています。おまけに、日本社会の高齢化が進み、貯蓄を取り崩す年金生活者が増えている中、穏やかなデフレのほうが暮らしやすいと考える人々が増え続けてきています。

そんなわけで、原油安によってデフレになるのは、国民経済にとって好ましい状況であるというのは、新しい経済の捉え方として常識になっていくでしょう。「原油安が誤算だった」と説明する日銀の目指すインフレには、いったい何の意味があるのか、私にはまったく理解しようがありません。日銀の黒田総裁は意固地にならずに、いい加減に日本人の価値観を理解する必要があるのではないでしょうか。

(以上、引用終わり)

企業がグローバル化に成功するための秘訣は、進出した先での徹底した現地化にあります。徹底した現地化においては、進出先の国の歴史、宗教、哲学、文化、価値観、ライフスタイル・・・そういったものすべてをそのまま、ありのままに受け入れるということが前提となります。たとえ自分の価値観とは相いれないものがあったとしても、すべてをありのままに受け入れる努力こそが、今のグローバル競争には欠かせないわけなのです。

実体経済を動かしているビジネスの現場では、こういったことが当たり前であるのに対して、経済学の理論では、すべての国々の人々が同じように行動するはずだという幻想が未だに信じられているようです。クルーグマンは自分の誤りを認め、「金融政策ではほとんど効果が認められない」と襟を正しましたが、クルーグマンの持論を最大の根拠にしたリフレ派の学者たちは意固地になりすぎて、軌道修正をできないままでいます。

日銀の金融政策は破綻に向けて、一歩一歩近づいているといえるでしょう。マイナス金利は経済全体で見れば副作用のほうが多く、愚策以外の何物でもありません。現代の経済システムでは、金利は必ずプラスになるという前提で構築されています。マイナス金利はまったく想定されていないため、これから数々の副作用が経済を脆弱な状態へと貶めてしまうリスクが高いのではないでしょうか。

※多忙につきまして、久しぶりの更新になりました。ご理解いただければ幸いです。

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keizaiwoyomu at 09:04|この記事のURL

2016年02月01日

マイナス金利で起こること

日銀が銀行の当座預金にマイナス金利を導入することで、決して避けられない事態があります。それは、銀行の収益基盤が悪化するということです。銀行は量的・質的金融緩和の影響もあって、巨額の資金を日銀の当座預金に預けています。マイナス金利を導入したら、日本の銀行への打撃は欧州の銀行とは比べ物にならないといえるでしょう。

実際のところ、超低金利が長期化する状況下で、これまでの銀行は日銀の当座預金にお金を預けて金利収入を稼いできました。それは、日銀の当座預金の金利が0.1%という高めの水準にあったからです。逆説的ながらも銀行にとっては、異次元緩和を進める日銀の当座預金がもっとも有望な運用先のひとつになってしまっていたのです。銀行から見れば、突然のマイナス金利の採用は、梯子を外されたといっても過言ではないでしょう。

さらに深刻に懸念されるのは、日銀が当座預金の金利をマイナスにする影響は、金融市場でのいっそうの金利の低下にもつながっていくということです。実は、当座預金にマイナス金利が採用されることよりも、金利の低下で融資の利ザヤが縮小することのほうが、銀行の収益基盤にとっては大きな痛手となってしまうのです。

この続きは、2月1日更新の『中原圭介の未来予想図』でどうぞ。


(お知らせ)3月12日に『投資戦略フェア EXPO2016』において、久しぶりに一般向けのセミナーをいたします。興味がございましたら、ご覧いただければと思います。http://www.tradersshop.com/topics/expo2016/

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keizaiwoyomu at 08:32|この記事のURL

2016年01月26日

2016年の利上げは、できても1回だけだ

FRBは2016年に利上げを何回できるのでしょうか。この予測については、拙書『中原圭介の経済はこう動く(2016年版)』(2015年10月刊行)で述べていますので、その中の75~78ページの文章を引用したうえで、少しだけ補足を加えさせていただきたいと思います。

(以下、『中原圭介の経済はこう動く(2016年版)』より引用)

少なくともチャイナ・ショックが世界の金融市場を揺るがすことになるまでは、FRBのイエレン議長は2015年のうちに利上げをすると公言してきましたし、多くの米国民もそのようになるだろうと考えていたに違いありません。

当然のことながら、このことは米国民の消費に大きな影響を与えていると思われます。何が言いたいのかといいますと、米国では2015年に入ってから駆け込み消費が拡大している可能性が高いということです。

冷静に経済の歴史に照らし合わせてみれば、米国では近い将来の利上げが確実視されていたので、消費増税前の日本と同じように、利上げ前に米国民による駆け込み消費が起きていると考えるのが自然ではないでしょうか。

~中略~

しかし不思議なことに、私の指摘するような懸念が専門家の間ではまったく見られていません。実際に利上げが行われれば、その反動が来ることは十分に想定できるはずなのですが、なぜかそういった見解がまったく聞こえてこないのです。

~中略~

このような歴史を踏まえれば、FRBの利上げのペースは想定よりもずっと緩慢にならざるをえないでしょう。先にも述べたように、FRBはたった1回の利上げによって、自国の経済ばかりか世界の経済に予想以上の負の連鎖をもたらしたことを、利上げの半年後には認めざるをえなくなる可能性が高いからです。

ところが、7月までのFOMC(連邦公開市場委員会)議事録を見れば、FOMCメンバーの多くは、利上げを開始したのち、年4回のペースで0.25%ずつの利上げを考えていることがわかります。FOMCメンバーの金利見通しはかなり楽観的であるように思われるのです。そのような早いペースの利上げは、とても世界経済が消化しきれないのではないでしょうか。

最終的には、FRBがひとたび利上げに動いたとしても、FRB自らがその失敗に気付き、軌道修正を余儀なくさせられることでしょう。その場合、米国経済の回復を支える金融政策を決して転換するわけではないと、株価が暴落するような金融政策は避けるように配慮すると、FRBは強くアナウンスする必要性に迫られるかもしれません。

(引用終わり)

遅かれ早かれ、FRBは世界経済の減速に加えて自国の減速懸念も受けて、年4回としている追加利上げの見通しを修正せざるを得ないでしょう。

中国が経済の構造調整を終えるまでには、少なくとも5年単位の時間を要することとなります。そのような状況下において、利上げによる様々な副作用が複雑に絡み合い、2016年前半には米国の減速も避けられない見通しにあるのです。

ですから私は、「FRBは2016年に利上げができたとしても1回だけだろう。ひょっとしたら1回もできないかもしれない」と予測しているわけです。

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2015年11月27日

FRBの利上げは本当に12月になるのか

「FRBの利上げは本当に12月になるのか」についてですが、イエレンFRB議長は11月4日の議会公聴会で「データ次第だが、次回のFOMCで利上げする可能性はある」と言明しました。米議会で債務上限の引き上げが合意されたことで、大きな不透明要素がなくなったせいか、これを機にイエレン議長をはじめ、フィッシャ―副議長やニューヨーク連銀のダドリー総裁も同じ趣旨の発言をしています。

ここで、新刊「経済はこう動く」の79ページの文章を引用させていただくと、FRBの金融政策を先読みするには、ニューヨーク連銀のダドリー総裁の発言に注目するだけで十分です。ニューヨーク連銀はFRBの金融調節を実施する組織であり、その総裁はFOMCの副議長を兼ねていますが、金融実務でダドリー総裁の右に出る人物はいないといわれているからです。FOMCでは議論の行方を調整しながら、落としどころを探るという役割を担っているのです。

実のところ、イエレン議長の就任以来、FRBは・・・

この続きは、11月15日配信の『経済展望レポート』でご覧になれます。

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