2016年11月

2016年11月24日

マンション・アパート経営は厳しい時代に

2016年に入ってからのGDPの内訳を見ると、唯一好調さを保っているのは住宅投資の分野です。これは、貸家となるアパート、マンションなどの集合住宅の建設が大幅に伸びているためです。国土交通省によれば、2015年の貸家の着工戸数は前年比で4.3%増えましたが、2016年の9月までの累計では前年同期比で9.7%増となり、その勢いを加速させているのです。

このような貸家の建設は、2015年1月に相続税の増税がなされたことでブームに火が付き始めました。もともと多くの資産家が貸家を建てて相続税の評価額を引き下げるという節税法を使ってきましたが、相続税の基礎控除額の縮小によって相続税を納める必要がある被相続人の数が倍増するだろうといわれています。この節税法を使う人々の資産額のハードルが大幅に下がったというわけです。

2015年よりも2016年に貸家の建設が2倍超に伸びているのは、日銀のマイナス金利政策によって借金が以前よりも容易にできるようになったためです。長期金利のマイナスが常態化するなかで、銀行は今や普通の住宅ローンに比べ貸出金利が高めに設定しやすいアパート・マンション向けの融資を積極化しています。その結果として、景気が停滞しているにもかかわらず、アパートやマンションの建設に行き過ぎ感が表れ始めているのです。

この続きは、11月19日更新の『中原圭介の未来予想図』でどうぞ。

※連載コラムのタイトルは編集者の意向で変わるケースがございます。ご了承ください。


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keizaiwoyomu at 09:02|この記事のURL経済の分析・予測 

2016年11月18日

想定外の相場にどう対処したらいいのか

想定外の株価上昇が短期間で起こりましたので、拙書やブログの読者のためにも今回は特別に、『経済展望ミニレポート11月16日号』を掲載させていただきます。レポート購読者の方々には、ご理解をいただきたいと思います。

(以下、『経済展望ミニレポート11月16日号』全文)

11月9日および10日号では、「先が読みにくいなかで、念には念を入れて、11月中は臨時のミニレポートを随時お送りすることで対応させていただきたい」としましたが、早くもミニレポートをお送りするタイミングが訪れてしまいました。米国で長期金利が急騰することによって、為替市場ではドル高円安も急激に進行し、日経平均株価が明日にも上値17905円~下値14864円のボックス圏を上へ突き抜けようとしているからです。

3月11日号のレポート以来、今回のボックス圏での対応方法として一貫して申し上げてきたのは、2016年~2017年は損をしないだけでも少数の勝ち組になることができるので、決して無理をしないようにすることでした。それ以降のレポートでも、2015年までのリスク資産の運用を100とすれば、2016年以降は30程度で十分という判断をさせていただきましたし、現物のみの対応で信用や先物には手を出さないようアドバイスもさせていただきました。

もちろん、私の判断は大失敗をしないためのものであり、絶対的な指針ではありませんので、各々の方々がご自身のリスクを計算しながら売買していただいて問題はございませんが、仮に私の判断どおりに売買しているとすれば、現時点では現物を売り上がってポジションは持っていないということになります。ポジションを持っていない現状では、ボックス圏の上限を超えてきた場合、それが一時的なものであるのか、あるいは継続的なものであるのか、焦る必要はなく冷静に見ることができます。

先進国の株式を先物主導で買い進める海外の投機筋の狡猾なシナリオを推察すると、市場関係者に上がるという材料を提供して煽るだけ煽っておいて、ある程度のところで利食いを入れてくるのではないでしょうか。海外の投機筋のなかに3か月後や6が月後にポジションを持ち続ける筋がいるとは、とても考えられないのです。トランプ氏の大統領選勝利を見越して売っていた売り方が買い戻しを迫られる状況での大幅高となっていますが、私の判断では、明日以降、相場がどう動こうと静観したほうが無難ではないかと考えております。

長い目で見れば、長期金利の急騰によって米国経済はダメージを受ける可能性が高まっていきますし(拙書をお持ちの方は、46~50ページを参照してください)、その結果として、再びドル安円高への巻き戻しが起こり100円~105円のレンジに回帰していくことになるだろうと予想しております。ただし、短期的にはドル円相場が達成感の出やすい110円台で止まるのか、さらにもう少し円安が進むのか、それは誰にもわからないことです。先が読みにくい相場は休むのが肝要だと思っている次第です。


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keizaiwoyomu at 15:31|この記事のURL市場の分析・予測 

2016年11月10日

トランプ大統領が誕生しても、これまでの投資戦略に変更はない

このブログや連載コラムでは拙書『経済はこう動く〔2017年版〕』のPRをさせていただきましたが、私は拙書のなかで、米国の大統領選でトランプ氏が勝利したことについて予想を外してしまいました。最後には、クリントン氏のメール問題再燃が尾を引いたわけですが、選挙の結果を公に予想したからには、結果がすべてであると思っております。私の読みが甘かったということであり、一切の言い訳をするつもりはございません。

しかしながら、多くの読者の方々が拙書のマーケット予想に期待していただいているということもあり、トランプ大統領の誕生により日経平均株価の見通しに修正が必要かどうかだけは、このブログや連載コラムで申し上げる責任があると思い、改めて見通しを述べることにいたしました。
 
私がボックス相場に入ったと判断し、初めて公にお伝えしたのは、3月11日の経済展望レポートおよび3月12日の『投資戦略フェア EXPO2016』での講演でしたが、その要点を一文でいえば、「日経平均株価は2月の上値17905円~下値14865円の3000円幅のボックス相場に入っている」というものです。もちろん、拙書のなかでもこのボックス相場はしばらく続く可能性が高いだろうと予想しております。

厳密にいえば、6月末に英国のEU離脱ショックを受けて、新しい下値は14864円と14865円を1円だけ割り込む形となりましたが、1円の違いは完全に無視してしまって問題はありません。むしろ、強力なダブル・ボトムの下値支持ラインが出来上がったと考えるべきでしょう。

ボックス相場での投資戦略は非常に単純であり、小難しいことを何も考える必要がありません。すなわち、下値14864円に接近する過程では3回くらいに分けて買い下がり、それとは逆に、上値17905円に接近する過程では3回くらいに分けて売り上がりをしていくという、機械的な売買が有効になりえるのです。

これは、もっと簡略化すれば、16000円割れは数回に分けて買い、16000円~17000円は買いも売りも見送り、17000円超えは数回に分けて売るという形に置き換えることができるでしょう。日経平均株価に連動するETF等で、このような売買を機械的に繰り返すだけでいいというわけです。

それでは、トランプ大統領が誕生したからといって、この投資戦略を修正する必要があるのでしょうか。私はトランプの勝利後のスピーチを聞いているかぎり、今のボックス相場に変化はないだろうと考えております。要するに、今の投資戦略を修正する必要はまったくないだろうと見ているわけです。

これまでトランプ氏は選挙戦において繰り返し国民の分断を煽ってきましたが、そんな彼が勝利後のスピーチで国民の団結を呼びかけていたのには、正直申し上げて非常に驚きました。私たちが見てきた彼はある意味では虚像であり、本当のところは現実を直視し、国民の分断を決定づけるような極端な公約を修正できる人物であるのかもしれません。

そうであるならば、株式市場では来年5月のフランス大統領選までは大したリスクはないだろうと見ております。来年の日経平均株価を見る時に重視すべきは、上値17905円~下値14864円のボックストレンドの下値を突き破ってしまうのか、あるいは下値14864円で強い抵抗を見せるのか、冷静に見極めなければならないということです。来年のポイントは、株価がボックス圏の下値14864円をキープできるのか、この一点に尽きると考えることができます。

拙書でも述べていますように、来年の金融市場に関する予想は、私が昨年末に今年の予想をした時よりも、格段に難しくなっているように思われます。円相場にしても株式相場にしても、次のトレンドへの転換を以って事後的に判断するしかないからです。おまけに、政治的なイベントの日程を把握していたとしても、それらの結果が前もって読むのが難しいという問題もあるのです。

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keizaiwoyomu at 00:37|この記事のURL市場の分析・予測 

2016年11月02日

新刊PRのインタビュー

新刊 『経済はこう動く(2017年版)』 のPRも兼ねて、「美人すぎる金融アナリスト」として評判の三井智映子さんからインタビューを受けました。このインタビューも恒例となった気がしますが、今回も昨年のインタビュー時と同じように、経済を予測するポイントや今後の米国・欧州・中国・日本の経済動向について、東洋経済オンラインで3回にわたって述べていますので、興味がございましたらご覧いただければと思います。
(※オンラインのタイトルは編集者が決めておりますので、いちばん伝えたいことがタイトルになっているとは限りません。ご了承ください。)

第1回 2017年、世界を揺るがす「リスク」はあるか
第2回 2017年、欧州が世界経済の火薬庫になる?
第3回 マイナス金利で日本は空き家だらけになる

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