2015年08月
2015年08月26日
今後の株式市場はどうなるのか?
2015年初めから私は、アメリカが2015年12月に利上げを行うことによって、世界の景気をいっそう減速させることになるだろうと考えていました。少なくとも2014年以降はアメリカ一国の好調さによって世界経済が何とか支えられてきたのですが、それもドル高によって新興国にさらなるインフレがばらまかれるだけでなく、アメリカの景気自体が減速するだろうと容易に予想することができたからです。
もちろん、中国をはじめとした新興国の大減速もアメリカの利上げ後に起こるだろうと想定していました。その後、中国が景気悪化に耐え切れなくなり、人民元をドルにペッグさせるのもやめざるを得ないだろうということも考えていました。中国の今の実体経済を勘案すれば、つい先日に4%~5%切り下げたとはいっても、依然として人民元相場が過大評価されているのは間違いないからです。
ところが、一度落ち着きを取り戻していた中国株の再暴落をきっかけにして、前倒しで中国経済の大減速が避けられない情勢になってきています。以前、中国政府は割高な水準で株価対策を打っているため、現状の株価(その時の上海株価指数は4000ポイント前後)を維持するのは難しいだろうと述べましたが、まさかこうも早い段階で3000ポイントを割るとは考えていませんでした。アメリカが利上げするのを契機として、その時こそ中国株は再び大きく落ち込むことになるだろうと考えていたわけです。
経済の予想は実におもしろいと思います。たまにではありますが、こうして想定外の事態が起こったことにより、玉突き事故のように全体の予想を修正していかなければならないからです。「個」が「全体」にどういった連鎖を及ぼすのか、「全体」が「個」にどういった影響を与えるのか、あたまのなかで経済のパズルを組み合わせる作業は殊のほかスリリングで俯瞰的なものなのです。
この続きは、本日からダウンロード可能な 『新刊キャンペーン最新レポート』 でご覧になれます。レポートをご覧になった方には、さらなる特典もご用意しております。
←応援クリックお願いします!
もちろん、中国をはじめとした新興国の大減速もアメリカの利上げ後に起こるだろうと想定していました。その後、中国が景気悪化に耐え切れなくなり、人民元をドルにペッグさせるのもやめざるを得ないだろうということも考えていました。中国の今の実体経済を勘案すれば、つい先日に4%~5%切り下げたとはいっても、依然として人民元相場が過大評価されているのは間違いないからです。
ところが、一度落ち着きを取り戻していた中国株の再暴落をきっかけにして、前倒しで中国経済の大減速が避けられない情勢になってきています。以前、中国政府は割高な水準で株価対策を打っているため、現状の株価(その時の上海株価指数は4000ポイント前後)を維持するのは難しいだろうと述べましたが、まさかこうも早い段階で3000ポイントを割るとは考えていませんでした。アメリカが利上げするのを契機として、その時こそ中国株は再び大きく落ち込むことになるだろうと考えていたわけです。
経済の予想は実におもしろいと思います。たまにではありますが、こうして想定外の事態が起こったことにより、玉突き事故のように全体の予想を修正していかなければならないからです。「個」が「全体」にどういった連鎖を及ぼすのか、「全体」が「個」にどういった影響を与えるのか、あたまのなかで経済のパズルを組み合わせる作業は殊のほかスリリングで俯瞰的なものなのです。
この続きは、本日からダウンロード可能な 『新刊キャンペーン最新レポート』 でご覧になれます。レポートをご覧になった方には、さらなる特典もご用意しております。
2015年08月20日
石油とマネーの新・世界覇権図
(ダイヤモンド社)2015/8/21発売
私はかつて、拙書『シェール革命後の世界勢力図』(2013年6月出版)において、「将来の原油価格が半値になると、世界経済はどのように変わるのか」という内容を、政治的に想定される出来事も含めて著わしました。
しかし新たに注意すべきは、シェール革命が世界に地殻変動をもたらした第1弾の出来事と捉えるとすれば、すでに第2弾の出来事が今年の7月に「アメリカとイランの和解」という形で起こっているということなのです。
アメリカとイランの和解は、世界経済の力関係だけでなく、国際政治の戦略をも大きく変えうるポテンシャルを秘めています。そして、新しい地殻変動は早ければ2016年にも現実に起ころうとしているわけです。
ところが、なぜかこの件については、メディアではあまり大きく取り上げられることがありません。
なぜアメリカとイランの和解が世界を大きく動かすのか?
これからの世界経済にどういった地殻変動が起こっていくのか?
新しい世界覇権の争いはどういった経路をたどっていくのか?
これからの国際紛争はどういった展開をしていくのか?
新しい世界秩序が日本に何をもたらすのか?
このたびの新刊では、歴史的な背景をひもときながら、以上の疑問にわかりやすくお答えしております。
『シェール革命後の世界勢力図』をお読みになっていない場合でも、理解できるような構成となっていますので、ぜひご覧いただければと思っております。
(お知らせ)
新刊のキャンペーンを行います。詳細については、以下のURLをご覧になってください。前回は数日でネット書店の在庫が切れてしまいご迷惑をおかけしましたので、今回はキャンペーン期間を長めに取っております。よろしくお願い申し上げます。 http://www.tokuten.click/
←応援クリックお願いします!
私はかつて、拙書『シェール革命後の世界勢力図』(2013年6月出版)において、「将来の原油価格が半値になると、世界経済はどのように変わるのか」という内容を、政治的に想定される出来事も含めて著わしました。
しかし新たに注意すべきは、シェール革命が世界に地殻変動をもたらした第1弾の出来事と捉えるとすれば、すでに第2弾の出来事が今年の7月に「アメリカとイランの和解」という形で起こっているということなのです。
アメリカとイランの和解は、世界経済の力関係だけでなく、国際政治の戦略をも大きく変えうるポテンシャルを秘めています。そして、新しい地殻変動は早ければ2016年にも現実に起ころうとしているわけです。
ところが、なぜかこの件については、メディアではあまり大きく取り上げられることがありません。
なぜアメリカとイランの和解が世界を大きく動かすのか?
これからの世界経済にどういった地殻変動が起こっていくのか?
新しい世界覇権の争いはどういった経路をたどっていくのか?
これからの国際紛争はどういった展開をしていくのか?
新しい世界秩序が日本に何をもたらすのか?
このたびの新刊では、歴史的な背景をひもときながら、以上の疑問にわかりやすくお答えしております。
『シェール革命後の世界勢力図』をお読みになっていない場合でも、理解できるような構成となっていますので、ぜひご覧いただければと思っております。
(お知らせ)
新刊のキャンペーンを行います。詳細については、以下のURLをご覧になってください。前回は数日でネット書店の在庫が切れてしまいご迷惑をおかけしましたので、今回はキャンペーン期間を長めに取っております。よろしくお願い申し上げます。 http://www.tokuten.click/
2015年08月14日
中国の本当の現状と先行き
中国政府は今週に入って中国株暴落の悪影響を止めるために、以前から噂されていた人民元の切り下げに踏み切りました。さまざまな経済メディアでは、中国経済の減速が再びクローズアップされるようになってきています。そこで今回は、中国経済の現状と先行きについて、簡潔に整理して述べたいと思います。
2013年頃から今に至るまで、中国はリーマン・ショック後に実施した4兆元投資の反動に苦しんでいます。将来の需要を無視した過剰な投資により、製造業を中心に供給過剰が慢性化しているのです。その結果として、企業の収益が悪化し、失業者数の増加が社会問題となっています。こうなってしまうと、増やした設備投資を次々と削減していくしかなく、4兆元投資の大半は無駄に終わってしまったといえるでしょう。
そんな状況下にあっても、中国のGDPは2015年1-3月期、4-6月期と7.0%の成長を達成しています。しかし、中国のGDP統計は2013年頃から粉飾されているので、その数字を決して鵜呑みにしてはいけません。私の考えでは、2013年当時は5%程度しか成長していなかったのですが、2015年の1-6月期には5%程度はおろか、4%程度しか成長していなかったかもしれないのです。
習近平体制は成長ペースを徐々に緩めながら、構造改革を通じて7%前後の安定成長の維持を目指しているため、2015年通年のGDPは最終的には7%を少し割れる数字をつくってくることが予想されます。中国政府はこれまで、「格差の拡大を止めるには、7%前後の成長が必要である」と国民に説明してきた手前、本当の数字を出したら民衆の大規模な暴動が止められなくなることを恐れているのです。【関連記事:中国の経済・金融の真相(その1) 2013.6.26】
中国経済の動向を精緻に分析している香港のエコノミストなどは、その多くが中国のGDP統計をまったく信用していません。たとえば、経済活動をより正確に映すエネルギー消費量は、2015年1~6月に0.7%しか伸びていないのです。エネルギー消費量は2011年~2012年には2桁の伸びを記録したにもかかわらず、現在の伸び率はGDPの伸び率から相当かけ離れた数字となっているわけです。その意味では、中国のGDP統計は政府目標を達成したという既成事実をつくるための儀式にすぎないと割り切る必要があるでしょう。
この続きは、8月14日配信の『経済展望レポート』でご覧になれます。
←応援クリックお願いします!
2013年頃から今に至るまで、中国はリーマン・ショック後に実施した4兆元投資の反動に苦しんでいます。将来の需要を無視した過剰な投資により、製造業を中心に供給過剰が慢性化しているのです。その結果として、企業の収益が悪化し、失業者数の増加が社会問題となっています。こうなってしまうと、増やした設備投資を次々と削減していくしかなく、4兆元投資の大半は無駄に終わってしまったといえるでしょう。
そんな状況下にあっても、中国のGDPは2015年1-3月期、4-6月期と7.0%の成長を達成しています。しかし、中国のGDP統計は2013年頃から粉飾されているので、その数字を決して鵜呑みにしてはいけません。私の考えでは、2013年当時は5%程度しか成長していなかったのですが、2015年の1-6月期には5%程度はおろか、4%程度しか成長していなかったかもしれないのです。
習近平体制は成長ペースを徐々に緩めながら、構造改革を通じて7%前後の安定成長の維持を目指しているため、2015年通年のGDPは最終的には7%を少し割れる数字をつくってくることが予想されます。中国政府はこれまで、「格差の拡大を止めるには、7%前後の成長が必要である」と国民に説明してきた手前、本当の数字を出したら民衆の大規模な暴動が止められなくなることを恐れているのです。【関連記事:中国の経済・金融の真相(その1) 2013.6.26】
中国経済の動向を精緻に分析している香港のエコノミストなどは、その多くが中国のGDP統計をまったく信用していません。たとえば、経済活動をより正確に映すエネルギー消費量は、2015年1~6月に0.7%しか伸びていないのです。エネルギー消費量は2011年~2012年には2桁の伸びを記録したにもかかわらず、現在の伸び率はGDPの伸び率から相当かけ離れた数字となっているわけです。その意味では、中国のGDP統計は政府目標を達成したという既成事実をつくるための儀式にすぎないと割り切る必要があるでしょう。
この続きは、8月14日配信の『経済展望レポート』でご覧になれます。
2015年08月11日
アメリカとイランの和解は、シェール革命並みの衝撃がある
アメリカとイランの和解が本当に進むことになれば、エネルギー価格の長期低迷が決定的となるように思われます。なぜなら、エネルギー全体で見れば、イランはサウジアラビアやロシアと並ぶ資源大国であるからです。
イランへの経済制裁が2015年末~2016年前半に解除されれば、原油確認埋蔵量が世界4位の同国には、石油メジャーをはじめ海外のエネルギー企業からの投資が活発化するでしょう。長期的に見てこれは、イランの原油生産量が着実に増加していくことを意味しています。当然のことながら、原油価格に与える下落圧力は相当なものになるだろうと考えられます。
ところが、イランの原油価格に与えるインパクトは、原油の増産にだけあるわけではありません。意外に知られていないことなのですが、イランは天然ガスの確認埋蔵量ではロシアを上回って世界1位であるのです。
エネルギー価格の動向は、原油だけを見ていてもわかりません。天然ガスや石炭なども含めて、エネルギー全体の総量で見る必要があります。
というのも、エネルギーには互いに代替性があり、たとえば天然ガスが安くなれば、原油の代替用としてのガスの需要が高まるし、石炭価格が安くなれば、石油からの代替需要が新興国中心に高まるという性格を持っているからです。
ですから、原油、天然ガス、石炭など、全体のエネルギーの供給と需要を考えなければ、エネルギー価格の動向を見誤ることになってしまいます。
2014年以降の原油価格の下落では、それ以前にアメリカ国内で天然ガスが安くなり、エネルギー価格全体に下落圧力が働いていました。そこにアメリカのシェールオイル生産量の急増が重なって、WTI原油価格が下落の一途をたどるようになり、それに引っ張られるように北海ブレントや中東ドバイ産の原油価格も下がっていったのです。
エネルギー全体の供給力から見たとき、イランの重要性は原油の埋蔵量が多いというだけでなく、未開拓の天然ガス資源がそれ以上に大きいということです。5年先になるのか、10年先なるのかはわかりませんが、イランに原油はもちろん、天然ガスを輸出するためのインフラが整えられれば、世界のエネルギー価格に大きな影響を与えることになるでしょう。
これに関連する記事は、8月11日更新の『中原圭介の未来予想図』でご覧になれます。
←応援クリックお願いします!
イランへの経済制裁が2015年末~2016年前半に解除されれば、原油確認埋蔵量が世界4位の同国には、石油メジャーをはじめ海外のエネルギー企業からの投資が活発化するでしょう。長期的に見てこれは、イランの原油生産量が着実に増加していくことを意味しています。当然のことながら、原油価格に与える下落圧力は相当なものになるだろうと考えられます。
ところが、イランの原油価格に与えるインパクトは、原油の増産にだけあるわけではありません。意外に知られていないことなのですが、イランは天然ガスの確認埋蔵量ではロシアを上回って世界1位であるのです。
エネルギー価格の動向は、原油だけを見ていてもわかりません。天然ガスや石炭なども含めて、エネルギー全体の総量で見る必要があります。
というのも、エネルギーには互いに代替性があり、たとえば天然ガスが安くなれば、原油の代替用としてのガスの需要が高まるし、石炭価格が安くなれば、石油からの代替需要が新興国中心に高まるという性格を持っているからです。
ですから、原油、天然ガス、石炭など、全体のエネルギーの供給と需要を考えなければ、エネルギー価格の動向を見誤ることになってしまいます。
2014年以降の原油価格の下落では、それ以前にアメリカ国内で天然ガスが安くなり、エネルギー価格全体に下落圧力が働いていました。そこにアメリカのシェールオイル生産量の急増が重なって、WTI原油価格が下落の一途をたどるようになり、それに引っ張られるように北海ブレントや中東ドバイ産の原油価格も下がっていったのです。
エネルギー全体の供給力から見たとき、イランの重要性は原油の埋蔵量が多いというだけでなく、未開拓の天然ガス資源がそれ以上に大きいということです。5年先になるのか、10年先なるのかはわかりませんが、イランに原油はもちろん、天然ガスを輸出するためのインフラが整えられれば、世界のエネルギー価格に大きな影響を与えることになるでしょう。
これに関連する記事は、8月11日更新の『中原圭介の未来予想図』でご覧になれます。
2015年08月05日
本のタイトルだけで内容を判断なさらぬように
経済分野の記者や編集者から評価が高い拙書の一冊に『日本経済大消失~生き残りと復活の新戦略』(2012年12月刊行)があります。
この本の要旨は、
①家電メーカーの苦戦は続く
②自動車産業の隆盛は続く
③過度な金融緩和に頼ってはいけない
④成長産業の育成に力を注ぐべき
の主に4点です。全体として、成長産業を育成できれば、日本経済の将来は明るいという流れになっています。
安倍政権が誕生する前に書かれたものとして評価が高まっているのとは裏腹に、先日も「タイトルがすべてをぶち壊しにしていますよね」とある経済誌の記者から言われてしまいました。
このタイトルが決まった経緯を簡単に申し上げますと、当時、藤巻健史さんの『日本大沈没』という本が売れていて、担当編集者の上司の方から「何とか日本経済大消失で行かせてほしい」と押し切られてしまったのです。
こういうタイトルの本を出してしまうと、拙書を読んだことがない方々からは藤巻さんと同類と見なされてしまい、いろいろマイナスなことがあることも経験することができました。
今ではこの教訓を生かして、タイトルと内容があまりにも違う時は多少自分の意見を申し上げるようにしています。
←応援クリックお願いします!
この本の要旨は、
①家電メーカーの苦戦は続く
②自動車産業の隆盛は続く
③過度な金融緩和に頼ってはいけない
④成長産業の育成に力を注ぐべき
の主に4点です。全体として、成長産業を育成できれば、日本経済の将来は明るいという流れになっています。
安倍政権が誕生する前に書かれたものとして評価が高まっているのとは裏腹に、先日も「タイトルがすべてをぶち壊しにしていますよね」とある経済誌の記者から言われてしまいました。
このタイトルが決まった経緯を簡単に申し上げますと、当時、藤巻健史さんの『日本大沈没』という本が売れていて、担当編集者の上司の方から「何とか日本経済大消失で行かせてほしい」と押し切られてしまったのです。
こういうタイトルの本を出してしまうと、拙書を読んだことがない方々からは藤巻さんと同類と見なされてしまい、いろいろマイナスなことがあることも経験することができました。
今ではこの教訓を生かして、タイトルと内容があまりにも違う時は多少自分の意見を申し上げるようにしています。



