2013年03月
2013年03月21日
〔激論〕 日本経済、崖っぷちの決断
(徳間書店)2013/3/21発売
本日、長谷川慶太郎先生との共著『〔激論〕 日本経済、崖っぷちの決断』(徳間書店)が出版されます。目次は以下の通りです。
第一部 日本は崖を這い上がれるか
第二部 世界と日本はここまで変わる
第1章 揺れ動く日本企業の雇用制度
第2章 ハイブリッドの次に来る車は何か?
第3章 アベノミクスと今後の日本経済
第4章 経済が復活するアメリカとの付き合い方
第5章 ユーロ諸国と新興国は当分ダメ
長谷川先生との対談を終えて思ったことは、とても85歳とは思えないほど先生の頭の回転が速かったということです。私自身も頭をフル回転しなければならず、おかげさまで、とても刺激的な対談ができたと思っております。
ご子息よりもずっと若い私に対しても真剣に向き合って対談なさってくださった長谷川先生と、対談の機会を提供してくださった李白社の岩崎旭社長に、この場を借りて感謝と御礼を申し上げたいと思います。
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本日、長谷川慶太郎先生との共著『〔激論〕 日本経済、崖っぷちの決断』(徳間書店)が出版されます。目次は以下の通りです。
第一部 日本は崖を這い上がれるか
第二部 世界と日本はここまで変わる
第1章 揺れ動く日本企業の雇用制度
第2章 ハイブリッドの次に来る車は何か?
第3章 アベノミクスと今後の日本経済
第4章 経済が復活するアメリカとの付き合い方
第5章 ユーロ諸国と新興国は当分ダメ
長谷川先生との対談を終えて思ったことは、とても85歳とは思えないほど先生の頭の回転が速かったということです。私自身も頭をフル回転しなければならず、おかげさまで、とても刺激的な対談ができたと思っております。
ご子息よりもずっと若い私に対しても真剣に向き合って対談なさってくださった長谷川先生と、対談の機会を提供してくださった李白社の岩崎旭社長に、この場を借りて感謝と御礼を申し上げたいと思います。
2013年03月08日
成長産業の育成がいちばん大事な理由
製造業の労働者数は1992年10月の1603万人をピークに下がり始めましたが、新たな受け皿となりつつあったのが卸売・小売業、飲食業などのサービス業でした。1995年3月にはこのようなサービス業の労働者数が1458万人になり、製造業の1441万人を抜いて、国内で最大の雇用を抱える産業となったのです。
ところが、国税庁の統計によると、2011年の卸売・小売業の平均給与は358万円、宿泊・飲食業は230万円となり、製造業の462万円より104万円~232万円少ない計算になります。したがって、製造業や建設業から卸売・小売業などのサービス業へ転じた人は、もとの生活水準を維持することが難しいのが現実です。
卸売・小売業、飲食業などのサービス業が、1995年までの30年ものあいだ、国内最大の雇用の担い手だった製造業に代わる存在となるには、収入が少なく心細いと言わざるをえません。
「地元に誘致した工場で安定した給与をもらい定年まで働く」というかつての良き雇用形態は、完全に崩壊してしまいました。今や製造業の多くの分野で、工場の海外移転が進みつつあるのです。JICA(国際協力機構)の統計によれば、1995年時点では8.5%にすぎなかった日本の海外生産比率が、2000年には11.8%、2005年には16.7%に上昇し、直近の2010年では18%にまで拡大しています。
また、日本は未だに製造業大国などと言われていますが、製造業の国内労働者数は2012年12月には998万人と51年ぶりに1000万人を下回りました。実に3分の2以下の規模まで縮小しているのです。
賃金が比較的高い製造業の空洞化は、日本国民の所得に悪影響を与え続けています。製造業の賃金は卸売・小売業、飲食業などのサービス業の1.3倍~2.0倍と高く、製造業の海外への工場移転は、日本の社会が比較的収入の良い雇用機会を失うことにほかならないからです。
賃金が高い雇用の受け皿がない中で、賃金が比較的高い製造業の労働者数が減少し、賃金が低いサービス業の労働者数が反比例的に増えていくのですから、国民の所得が下がり続けるのは、証明するまでもなく明らかな道理なのです。
デフレから抜け出せずに健全なインフレが起きないのは、日銀の努力不足を示しているのではありません。国民の所得が右肩上がりではなくても安定するには、金融緩和に過度に頼るのではなく、賃金の底上げを含めた成長産業の育成が必要だったのは明らかなのです。つまり、日銀をスケープゴートにするのではなく、歴代の政権が責任を果たすべきだったと言えるのです。
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ところが、国税庁の統計によると、2011年の卸売・小売業の平均給与は358万円、宿泊・飲食業は230万円となり、製造業の462万円より104万円~232万円少ない計算になります。したがって、製造業や建設業から卸売・小売業などのサービス業へ転じた人は、もとの生活水準を維持することが難しいのが現実です。
卸売・小売業、飲食業などのサービス業が、1995年までの30年ものあいだ、国内最大の雇用の担い手だった製造業に代わる存在となるには、収入が少なく心細いと言わざるをえません。
「地元に誘致した工場で安定した給与をもらい定年まで働く」というかつての良き雇用形態は、完全に崩壊してしまいました。今や製造業の多くの分野で、工場の海外移転が進みつつあるのです。JICA(国際協力機構)の統計によれば、1995年時点では8.5%にすぎなかった日本の海外生産比率が、2000年には11.8%、2005年には16.7%に上昇し、直近の2010年では18%にまで拡大しています。
また、日本は未だに製造業大国などと言われていますが、製造業の国内労働者数は2012年12月には998万人と51年ぶりに1000万人を下回りました。実に3分の2以下の規模まで縮小しているのです。
賃金が比較的高い製造業の空洞化は、日本国民の所得に悪影響を与え続けています。製造業の賃金は卸売・小売業、飲食業などのサービス業の1.3倍~2.0倍と高く、製造業の海外への工場移転は、日本の社会が比較的収入の良い雇用機会を失うことにほかならないからです。
賃金が高い雇用の受け皿がない中で、賃金が比較的高い製造業の労働者数が減少し、賃金が低いサービス業の労働者数が反比例的に増えていくのですから、国民の所得が下がり続けるのは、証明するまでもなく明らかな道理なのです。
デフレから抜け出せずに健全なインフレが起きないのは、日銀の努力不足を示しているのではありません。国民の所得が右肩上がりではなくても安定するには、金融緩和に過度に頼るのではなく、賃金の底上げを含めた成長産業の育成が必要だったのは明らかなのです。つまり、日銀をスケープゴートにするのではなく、歴代の政権が責任を果たすべきだったと言えるのです。



